東大OBネット会員の皆様へ

平素お世話になっております。東大OBネット事務局です。

東大OBネットでは「東大卒業後も刺激を受けあい自分を成長させていきたい」をテーマに今回、「東大OB列伝」を発行いたします。

「東大OB列伝」では、時代を動かし世の中に貢献する東大OBのインタビューを皆様に紹介していきます。

東大OB列伝第一回は、東京大学総長であらせられる小宮山 宏 様に、これからの東京大学についてお聞きいたしましたので、全3回に分けてお届けさせていただきます。

キーワードは 「先頭に立つ勇気」です。

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インタビュー :東京大学総長 小宮山 宏 氏


■東京大学総長  小宮山 宏
東京大学工学部化学工学科卒業後、東京大学工学部化学工学科教授となり、現在 東京大学総長。 著書は地球持続の技術、知識の構造化 、バイオマス・ニッポン等多数。

■インタビュアー 高岡壮一郎(東大OBネット)
東京大学卒業後、三井物産株式会社入社、アブラハム・グループ・ホールディングス株式会社を起業、学士会と協業し東大OBネットを運営。

【高岡】

HPに掲載されている総長のご挨拶の中に、「自律分散協調系」という言葉で今後の大学の目指すありかたを述べていらっしゃいますけども、東大OBネットのユーザ分かりやすくコメントを頂きたいと思います。また社会のあり方における「知識の構造化」についてもご教示ください。

また、総長は「東大が変われば日本が変わる。」と仰っていますが、今の東大OBにはベンチャーの方とか色んな方がおられますが、明らかに過去の官僚を目指す人が多かった東大生のあり方から変わってます。

今後東大総長として今のOBたちにどうしてほしいのか、現役に教壇に立たれていらっしゃいますが、今の学生たちにどういう風に生きていってほしいのか熱いメッセージを頂きたいと思います。


【小宮山総長】

分かりました。

自律分散協調系は、自律した個人たちが協調していくということを意味していて、大学のモデルになるものだと考えています。

大学というのは新しいコンセプトを社会に出していくことが期待されているわけですが、 新しいコンセプトというのは、総長のリーダーシップで、ああやれ、こうやれと言って生み出されるものではないんです。やはり、それぞれの優れた人たちが、たとえ世の中の常識とはかけ離れていようとも、自らの確信に基づいてやることから生み出されるものです。

それが自律分散です。そこに全体としての協調、組織としての効率性も求めなければならない。その良いモデルというのが人間の体だろうと思います。

心臓とか腎臓とかいった臓器というのは、体の中に分散して存在しており、そしてなおかつ自律的に動いているわけです。だけど、全体としては生命の営みが行われていて、協調しているということです。

自律分散協調系とは、生き物をモデルにした概念なのです。


【高岡】

これは社会全体にあてはめると、市場原理に委ねていれば、神の手が働いて全体最適に なるといったようなことと、割とコンセプトが一致しているように思えますが、いかがでしょうか。


【小宮山総長】

そうですね。人間でいうと、脳と神経があって、情報が行き渡っていますよね。それともう1つは、血が体を巡って、栄養を供給しています。協調に必要なのはこの2つだろうと思います。知のめぐりと血のめぐりという語呂あわせ。(笑)

それを大学にあてはめるとなん何だろうということですが、知識のほうは組織や人の間の情報の共有、血、栄養のほうは、お金・モノ・人だと考えているわけです。

【高岡】 

なるほど、そういうことですか。


【小宮山総長】

総長のリーダーシップの役割の基本というのは、そういう自律分散の自由にやるものに対してきちんと情報を共有させること、同時にお金・モノ・人が適切に行き渡るようにするということなんでしょう。

【高岡】 

それが、新しい大学としてのあるべき姿ということだとわかりました。

さて、総長は「知識の構造化」という問題意識を掲げて、20世紀に膨張した知識を、21世紀にはどうするかと問われておられますね。それについて教えていただけますか?


【小宮山総長】

知識の構造化、これは説明すると非常に長くかかるのですが、東京大学では少なくとも2つのことを始めました。

1つは「学術俯瞰講義」、もう1つは「学術統合化プロジェクト」です。この2つを実例として説明すると分かりやすいと思います。「学術俯瞰講義」というのは、教養学部前期課程に開講した講義で、これは、入学してきた学生たちに、「知」の体系や構造を見せ、ひとつの学問分野が他の分野とどう繋がっていて、より広い学問領域の中ではどのような位置にあるのかを把握させる、つまり学術を広い視野から俯瞰する、という講義です。

スタートとなった平成17年度冬学期は「物質」がテーマでした。物質というものに関して、小柴昌俊特別栄誉教授、佐藤勝彦教授、家泰弘教授、それから私が分担して、宇宙の中で物質というものがどうやってできてきたのか、物質というのは固体になり、あるいは分子になるとどういう性質を持つのか、人間が物質をどう作って、どう利用しているのかということを講義しました。

それで今回は物質がテーマでしたが、東大教養学部前期課程の総合科目というのは、6つの系列に分かれています。思想・芸術、国際・地域、社会・制度、人間・環境、物質・生命、数理・情報の6系列です。

これらの全体を学術俯瞰講義でカバーしていきたいと思っています。18年度以降、それぞれの項目について、十数回の講義を作ろうと思っていて、その第一弾が物質だったのです。これは荒っぽいけれど、人の頭、トップの学者の頭を使って、細部ではなく最先端の研究を反映させた全体像を語ることで、知識を構造化する、つまり人の頭を使った構造化です。

これを教養学部に入ってきた1年生に講義するわけですが、僕の講義は別の教室にも配信されていて、工学部の人たちも聴いているという話です。何人聴いたかは知らないけど。(笑)

そして、もう1つが「学術統合化プロジェクト」。これは「ヒト」「地球」というのが既に走り始めていて、さらに「モノ」と「宇宙」をやると、自然科学はおおよそカバーできると思っています。この他に文系のものも続きます。これは学術俯瞰講義と何が違うかっていうと、最先端の知識を本当にコンピュータの中で、繋いでいこうというものです。


【高岡】 

知識が繋がっていくイメージができます。


【小宮山総長】

極論すると、学術統合化プロジェクト「ヒト」は、最先端のコンピュータと最先端の情報技術を駆使して、サイバースペースに人間を作ってしまうということです。

これは何がいいかというと、例えば目の神経について今まで分からなかったことが分かったとしたら、そこに新しく情報を入れるわけです。そうすると、今まではブラックボックスとして動いていた目というものに実体が入るわけです。

そうやってどんどん新しい知識を入れる、古い知識が変わったとなれば換えるということをやっていく。でもきっと人間にはならないですよね。恋をしないとかね。

どうしてもこんな風に動いちゃうとか、まともに動かないということも出てくるかもしれないけれども、それは逆にいうと、人間はどこまでヒトが分かったのかということの検証になるわけですね。

 あれも分かったこれも分かったっていうけれども、じゃあ、全体では何が分かったのかということが分からないことがあるでしょう。例えば糖尿病のたんぱく質が発見されたっていうけれども、なんで糖尿病が治らないのか、ということは分からないですよね。それを本当に作ってしまおうというわけです。学術統合化プロジェクトでは、学術俯瞰講義とは逆に、細部から全体を創りあげようとしています。


(第二回に続く)


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■小宮山 宏


東京大学工学部化学工学科卒業後、東京大学工学部化学工学科教授となり、現在 東京大学総長。

著書は地球持続の技術、知識の構造化 、バイオマス・ニッポン等多数。

関連URL:総長挨拶


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■高岡壮一郎


東京大学卒業後、三井物産株式会社入社、アブラハム・グループ・ホールディングス株式会社を起業、学士会と協業し東大OBネットを運営。

関連URL:社長日記