東大OBネット会員の皆様へ

平素お世話になっております。東大OBネット事務局です。

東大OBネットでは 「東大卒業後も刺激を受けあい自分を成長させていきたい」
をテーマに今回も、「東大OB列伝」を発行しています。

「東大OB列伝」では、時代を動かし、世の中に貢献する
東大OBのインタビューを皆様に紹介していきます。

東大OB列伝第二回は、8月30日に上場されたネットエイジの西川社長です。
キーワードは、「web2.0」、「メディア再編成」、「アフターインターネット世代」です。


(第一回東大OB列伝 東京大学総長 小宮山氏のインタビューはこちら 
 http://todai-ob.net/mailmag/20060301/




---------------------------------------------------------------------
<PR> 「企業価値」を見抜いて投資する方法論とは?
個人投資家向け 投資アドバイザリー・サービス(実績+288%)
http://ma-investment.jp/
---------------------------------------------------------------------

インタビュー

 株式会社ネットエイジグループ
                  代表取締役社長 西川 潔 氏



■株式会社ネットエイジグループ 代表取締役社長  西川 潔
東京大学教養学部卒業。KDD株式会社(現:KDDI株式会社 )、米国コンサルティング会社、AOLジャパン株式会社などを経て、 98年2月株式会社ネットエイジを創業。 インターネットビジネスの企画・開発・運用を通じ、ビジネスインキュベーションおよび投資業務を手がける。
また、2000年頃に日本中を席巻したビットバレー構想(本文の注参照)の発案者でもある。

■インタビュアー 高岡壮一郎(東大OBネット)
東京大学卒業後、三井物産株式会社入社、 アブラハム・グループ・ホールディングス株式会社を起業、学士会と協業し東大OBネットを運営。



ビットバレーで起業

【高岡】

今、WEB2.0が話題になっております。そういう意味で東大卒業後、起業されビットバレー旋風を巻き起こした西川社長のお話を伺わせて頂ければと存じます。

【西川社長】

では、時系列で簡単にお話しますと、僕は98年2月に創業したんです。その頃って、インターネットがビジネスとしてどの位可能性があるのかっていう事にまだ疑問符が付いていた時代でして、結構少なからぬ人が「こんなのビジネスにならんぞ。」という風に考えていた時代でしたね。

で、潮目が変わったのが、99年6月。孫さんが「ナスダック市場(注:現・大証ヘラクレス市場)を日本に持ってくるぞ。」と発表して、それに東証も「マザーズって作るぞ。」って言って、新興ベンチャー向け市場が一気に2つも出来て。で、ジャスダックもその後ね、いろいろ改正されて非常に上場しやすくなったりして、いわゆるIPOビックバンが2000年から始まったんですよ。で、それが始まるのが発表になって瞬間から大きく潮目が変わって、インターネット分野のベンチャーにも沢山投資したいって投資家が押し寄せるようになったんですけどね。

ところで、僕はその1年ちょっと前にスタートしてたので、当然の事ながら僕らも注目されました。特に僕は、「ビットバレー」(注:2000年前後に、渋谷を中心に若手ITベンチャー起業家が集って形成された、渋谷のIT企業集中地帯。ここでは、当時の若手ITベンチャー起業家の活動を指す。)って運動をボランティア的にやっていた事があって、それで、資本金をある程度積んで、「インキュベータ」って言う、ちょっと特殊な業態をやってました。言ってみれば、インターネット事業の創業から独り立ちするまでをプロデュースすることに特化した専門集団ですね。

なぜインキュベータかと言いますと、インターネットを使ったビジネスと言うのは、10年前は誰にとっても新しい、未経験の分野だったので、色々なノウハウの構築がまったく誰にも無かったわけですね。誰にとってもゼロだったわけですね。なので、先にやった人が有利ということが無くて、皆が一斉にスタートしたって感じでした。そこには、急速にノウハウを溜めて、他のビジネスに転用できるノウハウが一杯あるんですよ。そういうノウハウを溜め込んでどんどん応用していけば、成功裡にスムーズにビジネスをスタートする事が出来るではないかというロジックを作りました。その方法とは、技術者集団とビジネスプロデュース集団をセットで送る事なんですけどね。

その結果、つまり社内で企画して生み落としたというか、スピンアウトさせたビジネスが全部で32社位という実績になっていますね。全部が全部会社の中で生み出された営業ではなくて、外の起業家がアイデアだけ持ち込んで来て、ということもありました。アイデアと情熱だけ持ってきたっていう人もいましてね。そこで僕らがわっと助けてあげて、一人立ちさせたっていう事例もありますけど。でも大半は社内で出てきたアイデアから、社内で企画を作って、適切にタイミングをみはからってスピンオフするという方法案で今までやってきました。で、ユーザー数が非常に多くなったサービスとしては・・・。

【高岡】

今、一番有名なのはmixiですよね。

【西川社長】

mixi。

【高岡】

これは、どういう位置づけの投資ですか?

【西川社長】

これはね、ちょっとマイナーな方のタイプ。つまり、起業家が自分でうちにやって来て、うちの会社の中で会社を作って、うちの中でスタートして、それから更にまた出てって大きくなったって例です。

【高岡】

なるほど。

【西川社長】

で、あとユーザー数の多いのは「フリー・エムエルメール」っていう、メーリングリストを自分で作れるやつとか、あとは、「ネットマイル」っていう大橋さんがやっているやつ。これらがね、ユーザー数が数百万人規模にまで膨らんだ大きなサービスです。その他そこまでいかなくても、今、ECナビっていう名前に変わったとかマイIDとか、あれも元々うちの社員が作ったやつです。後、楽天なんかに売ったビジネスとか、サイバーエージェントとかね。いろんな所に売ったビジネスとかもありますね。

今は全部で30社か32社かで、全部単純に合計すれば、従業員の数がちょうど1000人位になってますね。30社で1000人だから、1社あたり30人位って事になるよね。割り算すると1社あたり、そう大した事ではないかもしれませんけど。ま、いずれにしても、貢献して、いろんなビジネスを作り続けている。

ネットバブルからWEB2.0へ

【西川社長】

10年やってきて、ま、10年までいかないか。8年半ですけれど、大分黎明期からやってきて、いろいろ、そりゃ山谷あったんですよ。投資ブームの時と、ネットバブルが弾けて投資が冷えた時期もあったし、その山谷を乗り越えて今に至っているんですけど、この去年くらいから久しぶりに、大きな山になってきているんですね。

丁度、Yahoo!Japanが97年に上場して今年で約10周年ってことでね、YahooがいろいろYahoo!Japanの上でやっていますけど、その10年ぶりにね、日本だけじゃなくて世界的に、また企業スターターブームなんですよね。「Web2.0」というブームで。

「Web2.0」というのは、ソフトウェアのバージョンアップの比喩を用いているんですけどね。要は、ソフトウェア1.0、Ver1.0、Ver2.0という風に、バージョンが上がるって意味ですけどね。これは、技術的に色々とできる事と、ユーザーのアクセプタンス、つまりユーザーのネットに対する使い方の変化との両方が組み合わさったトレンドなんですけどね。

で、本当に雨後の竹の子のごとく、色んな世界中の起業家が実際始めてるんですよ。で、その多くは、Web1.0時代からネットビジネスの中に居た人が、今がチャンスって外に出てきて、なんかやってるのね。アメリカなんかだと、今、Web2.0の会社がリストアップされた、一種の一覧表みたいのがあって、それに毎日のように新しいのが追加されてるんだけどね。どこが2.0かまあ一言で言えなくて、長いんですけどね。ま、いずれにしてもね、今後伸びそうなトレンドを含んだ、要素のあるビジネスが総称されて、「Web2.0的な会社」だって言われてるんですけどね。

【高岡】

ビットバレーの人たちって、皆、居なくなってしまったのですか?

【西川社長】

居なくなってないですよ。

【高岡】

居なくなってないですか。

【西川社長】

居ますよ。ここに。

【高岡】

あ、西川社長は勿論、ご活躍されてますけども。(笑)

【西川社長】

もちろん居なくなった人もいますけど、結構な量はここに残ってますよ、相変わらず。で、日本中から、「渋谷でやろう。」って引き付けられて来ている例も有るし。結構健在って言ったほうが実態に近いですけどね。

ネットバブル(10兆円)と土地バブル(1千兆円)

【高岡】

いっぱい潰れたイメージがあったのですが、そうでもなかったのですね。

【西川社長】

うん。もちろん、確かにゼロじゃないよね。統合されたり、後は、完全に会社潰したりってのはあったけど、板倉雄一郎さん(元・(株)ハイパーネット)みたいに、銀行に負債を抱えたまま倒産したっていうのは、実は殆ど無いんですね。全部投資マネーなので、負債があんまり無いんですよ。融資を受けてないんですよ。受けてた人はわずかですよ。なので、多少潰れた例も有ったけど、それほど他の人に迷惑掛けてないはずなのね。
だから銀行の時の、銀行ってか、土地バブルってあったじゃないですか!

【高岡】

ありましたね。

【西川社長】

ネットバブルと土地バブルの大きな違いは、土地バブルってのは、デッドファイナンスなんですよね。もう、銀行がどんどん貸し付けて、それを担保にまた貸してまた貸して、それが全部ドターンとね、一気にバブルが崩壊して、そしたら不良債権の山でしょ。そういうのが無茶苦茶で、その結果貸し渋りで中小企業が倒産するとか。ものすごい悪の波及効果が結んだ。しかも、絶対規模が凄いんですね。
これまた、土地バブルのピークの時ってさ、日本の国土って1千兆円位の価値があったって。そんな1千兆円がねえ、どのくらい凹んだっていうかな。あれ逆かな。1千兆円の更に上かな。何しろね、凹んだ部分が1千兆円分くらいあったんですって。

【高岡】

それは凄いですね。

【西川社長】

だからわかんないよ、1千3百兆円が3百兆円までいっちゃったかもしれないよね。要するに、1千兆円分凹んだの。それに比べると、ネットバブルは大した事無いんですよ。せいぜい10兆円です。

【高岡】

10兆円!

【西川社長】

それでも10兆円ですけどね。光通信で、一社で5兆円だったからね、時価総額。

【高岡】

(苦笑)

【西川社長】

それが、100分の1の500億とかまで下がったんで。光通信1社で4兆円分位下がっていますけど、それでも狂気じみていましたけどね。でもそれでも、土地バブルに比べれば全然大した事無いんですよ。

それで、もうひとつは、さっき言ったように、デットファイナンスじゃなくて、エクイティファイナンスで、出資者は自分が出資したリスクの範囲で損をするけど、それ以上は波及しないんだよね。なので、実はネットバブルってのは、今皆が便利に使っているネットサービスを作ったって言う所もあってね、そりゃもちろんトライして失敗したのも一杯あるけど、でも、僕は決して無駄にはならなかったって気がしています。やっぱり、一時的にそこにお金が入り込んできて出来た会社が一杯あるので。

インターネット・ビジネスは、まだ午前8時半

【西川社長】

あともう1つはね、もっとマクロ的に見てですね、100年前から土地は土地であったわけで、途中で売買もあったけど、ネットは本当に無かったんですよ。10年前に突如出てきて、それまで全く無かった世界じゃない。

で、そこにそのわずか10年で、これだけ人々のライフスタイルを完全に変えてますよね。今、電子メールの無い生活って考えられないでしょ?昔は電子メールなんて無かったんですよね。いちいち手紙でこう書いたり、あとFAXにこう送ったりね、面倒くさい事を平気でやっていたわけ。だってそれしか無かったわけだから。ところが、1回人間って、こういう電子メールだとか、あとホームページ上でいつでも検索してすぐ情報を入れたりすることを知っちゃうと逆戻り出来ないんですよ。

【高岡】

たしかに、そう実感しています。

【西川社長】

不可逆的な現象なわけですよ。そうすると、そのインターネットの未来というのは、より右肩上がりに行くに決まってるんですよ。例えばページビューであり、人が使う時間であり。なんでもね。

【高岡】

不可逆性ですね。

【西川社長】

だから、逆戻りはありえなくて、インターネットバブルっていうのは、株価バブルだったんですよ。端的に言って。

ところが、インターネット本体自体はバブルでも何でも無いんですよ。まだ昔はダイヤルアップで回線も細くて、大分使いにくい時代にもかかわらず、便利なんで一生懸命使ってた。今、これだけブロードバンドが普及して本当にスイスイスムーズに使えるようになったってことで、ますます人々がインターネットにいろんな形で依存する、というか、使うのは間違いなくて、それのビジネス的な価値や果実が出てくるのはこれからなんですよ。   
だから、インターネットビジネスは、1日の時刻に例えると、午前6時半、やっと太陽が大体昇ったという感じなんですよ。それまで夜明け前だったんで、夜明け前の混乱って感じだった。

【高岡】

なるほど。

【西川社長】

という事で、僕は全産業セクターの中で、やっぱりインターネットが一番有望だと思ってて、株式投資するのもインターネット株が一番いいと思うんです。

【高岡】

そうなのでしょうか?

【西川社長】

だからもちろんね、上がりすぎたっていうところはあるかもしれないけど、Yahooなんて4兆円しますからね、楽天も1兆何千億でしょ。株価で、まだ更に買い上がれるかって言うと、どうだろうって人もいるかもしれないけどね。
ただやっぱり、株式相場・市場というのは、未来の英知をしてるって言われますけどね、それだけ株価が高い、まだあれだけの規模なのに株価が高いというのは、やっぱりインターネットはまだまだこれからだということの現れかなって思ってるんですけどね。

【高岡】

今、午前6時半ぐらいから7時くらいのタイミングなんですか?

【西川社長】

そうですね、8時半くらい。

WEB2.0は、今 31歳 以下の人にしか分からない??

【高岡】

Web2.0というのは、要はGoogleのようなCGM(注:情報発信者と情報受信者が同じ形態のコンテンツ)のことである、との理解でよろしいのでしょうか?

【西川社長】

う〜ん。そういうものですね。「Web進化論」で言うところの。

【高岡】

あの本は、「あちら側」がインターネットPCのWeb1.0とすれば、「向こう側」のWeb2.0というコンセプトでした。

【西川社長】

そういう解釈でいいんじゃない。

そうですね、多分ね、これは本当に世代論で区切っていいのか分からないけど、ティーンネージャーの頃にインターネットを触り始めてた人と、それ以前に生まれた人では、根本的に違うような気がしますね。

【高岡】

今で言うと何歳くらいですか

【西川社長】

小学生、1975年生まれ以降か以前。

【高岡】

あ、そうですか。(笑)75年以降ですよね!?僕はちょうど74年なのですが・・

【西川社長】

あ、そうですか。じゃ、もう駄目だ。(笑)

94年くらいにウェブが商用化されたから、仮に94年に14歳とすると、14歳引いて80年、1980年生まれ位かな。その年代位が分水嶺で、それ以前の人と、それ以後の人では、なんかこうかなり違って・・・。

あの、丁度さ、キリストの生まれる前はさ、BC、「ビフォアークライスト」、その後はADっていうじゃない。AD何年、BC何年。それと同じ様に、AIとBIって言葉があって、「After Internet」、「Before Internet」って読むのね。それが生まれ年で言えば、多分1980年位になるんじゃないかと僕は思うんですけどね。

【高岡】

インターネット商用化が94年ですか?

【西川社長】

えっと、インターネットの生誕は93年の秋くらいって言われているけど。インターネット自体はね。インターネットが商用化された時期ということですよ。

【高岡】

After Internetの人達のサービスだってことですね?

【西川社長】

ま、そうですね。梅田さん(注:「ウェブ進化論」著者、梅田望夫氏)もまさに本に書いてあるけど、ウェブの、いやむしろネットの向こう側にいる、会った事も無い人たちの集合知に信頼を持てるかということです。

【高岡】

はい。

【西川社長】

それってね、多分Before Internetの人ってね、永遠に持てないと思いますよ。僕なんかもそうだけど。でも、After Internetの人は疑わないで、信頼を持つんですってね。ただ、そこは僕もわからないんですよ。

【高岡】

wikipedia(注:フリー百科事典サイト)とかは、全員で更新しますからね・・・。

【西川社長】

wikipediaとかのように、それをもたらすビジネス上ではなく、むしろ社会学上の現象って、本当に無視出来ないものがあって、つまり、人と人のコミュニケーションとか、または、情報のやり取りとか操作管理ネットなどが根本から変わってくるっていうことですね。
だから、ありとあらゆる意味でね、やっぱりインターネットは革命的だと、僕はいまだに思っているんですよ。インターネットを圧勝評価する人がまだまだ一杯居ると思ってて、僕は、いくら評価しても過大評価にならないくらい、やっぱり凄いと思っているんですよ。それが応用されて、上場会社が出来たことはそれなりに興味深いけど、その事はあんまり大した事無いんです。
むしろ、僕は個人的に、インターネットが生まれたおかげで、本当に情報に国境が無くなって、そういう意味でデジタル情報革命の最大の申し子だって気がしますね。自動翻訳を使えば言葉の壁も無くなるし。グーテンベルグの活版印刷以来の革命だとかって良く言うけど、実際その位のインパクトはありますよね。

アフター・インターネット時代はどうなるか?

【高岡】

最近、Googleが居るから、若いネット系起業家は、あまり盛り上がってない気がするのですが・・・。「どうせもうGoogleいるし。」という諦めのようなもの。「あれよりも凄い事はないんじゃないの?」という。あらゆるビジネスモデルの基本がGoogle無しでは成り立たないという世界観です。

【西川社長】

ああ。ま、ビジネスって事に限定するとね。確かに、「Googleと同じことをやったらどうしよう。」みたいにね、そこで思考停止に落ちるみたいなね。

【高岡】

全くそういう気がします。

【西川社長】

あれだけ上場して金も持ってて、人材も世界中のベスト・アンド・ブライティストを湯水ほど集めてやっているから、すぐにかなう訳がないよっていうね。ま、Googleもあそこまで行くと、もしかすると、もう国家ですよね、一種の権力というかね。

【高岡】

彼らに逆らったらWEB上では生きていけない。サイバー・エージェントやBMWがGOOGLE の検索結果から追放されてしまった問題が起こりました。

【西川社長】

そう。というか、Googleの10年後を占うパロディーサイトとか一杯ありますけどね、うん。Googleがアマゾンと合併してGoogleZonになって、地球上のあらゆる人の購買履歴はそこに保管されるとかね。

【高岡】

気味が悪いですね。

【西川社長】

うん。そういう、恐怖未来予想小説的なプロットを書く人もいますけどね。

【高岡】

アフター・インターネット時代で、御社が色んなインキュべーションをされておりますが、私は個人的には、RSS広告社さんが面白そうです。

【西川社長】

広告っていうとこまでは限定してないですけど、RSSっていう一種の新技術とかとは別に、その1つのやり方がね、どんどん普及してるので、これもさっき言ったように、不可逆的にどんどん広まることはあっても、縮小していく事はありえないので、これらの先読み的なビジネスアイデアをいろいろ試してるところですね。

ま、RSSが全てのサイトの更新情報として売れるようになるのは、多分そう遠くない未来の事ですから。後、Windows Vistaっていう新しいOSね、RSSリーダー的なものが標準搭載される事が決まっていますよね。ま、そう言うのを使っている人は、多分まだインターネットユーザーのうち10人に1人居るかいないかだと思うんですけど、多分10人のうち8人くらいが使うようになると思います。逆に、メールマガジンで情報をメールボックスに受け取るって人はガクッと減ると思いますよ。その代わりRSSリーダーで情報を寄せるっていうか。

メディア・ビジネスの大編成

【高岡】

最近の新しい取り組みはどのようなものがございますか?

【西川社長】

そう言う意味で言うとね、メディア・ビジネスの大再編成がこれから進行するんじゃないかと思ってます。
メディア・ビジネスというのは大きく分けて2つのビジネスモデルがあって、ひとつは、直接聞く人見る人から金を取る。例えばレコード屋さんでレコードを買うとか、スカパーで視聴料払うとか。で、もうひとつが今の広告ビジネスですよ。見るのはただ。広告っていう別の所で儲けるというね。これはもう、まさに民放テレビもそうでしょ、ラジオでもTokyo FMなんかも皆そうですよね。

で、そこにインターネットがね、これからドンドン落ちて来ると思っているんですけど。インターネットはどっちかって言うと、2つのモデルのうち後者ですよね。広告モデルのほうを変えていくって言われています。

今広告のシェアが一番大きいのはもちろん民放テレビですよね。今、大体日本の広告費って6兆円あると言われている。そのうち4兆円以上はテレビなんですよ。で、その4兆円っていう巨大市場が、インターネットの影響で大きく変わろうとしているんですよ。それこそホリエモンがね、フジテレビをああいう風にしたり、何とかやろうね、そういう風に考えていたわけですけど。今、三木谷さんもTBS株を10何%取得したとかいうけど、やっぱりその、さっきのBefore Internet、After Internetじゃないけど、テレビ局は典型的なBefore Internet主導なんでね、発想自体がまるっきり無いわけですね。

そこにインターネット側から色々提案して、面白いことをやれば、僕は非常に面白いなと思っていたんですよ。で、ホリエモンは非情にもああいう風になっちゃったけどね。もしかして、ああいう風にならずにフジテレビと何らか一緒にやるような事が出来たら、もしかしたら、フジテレビの中の人が考えるよりも、より面白い事が次々と出来たかもしれない、って思っているんですけど。

ま、いずれにしても、若い人の中で、インターネットの接触時間が増えている分テレビの接触時間が減っているんで、テレビを余り見てないって人が結構多いですよね、最近。

【高岡】

私の家にはテレビが無いです・・・。

【西川社長】

「テレビを見ている時間が無いんだ。」と言いながら、何故かインターネットでmixiやったり色々やってるうちに、もう夜になっちゃうんで寝ますとか。

後もうひとつは、テレビ自体がインターネットで見られるんですよね。コンテンツが蓄積された形でね。例えばGyaOとかだと今ニュースもやってるし、そりゃ、いつもオンデマンドだよ。クリック1つでその時から始まるんで、自分が放送時間に合わせてテレビの前に座る必要も無くて、録画も必要無いわけですよ。そういう風に、特に若い人のインターネットの接触時間が増えているんで、テレビが必然的に影響を受けると。

あと新聞もね、宅配のちゃんとした新聞を取る人が減っているよね。それともう1つは、携帯電話で全て済ませて、固定電話を使わない。とにかく若い人を中心に、もうもの凄い地殻変動が起こっているんですよね。

で、ある新書版で、「テレビ、殊に民放テレビは最大の権力である、いや、既得権である。」っていうテーマの本を読んだ事があるんだけど、確かにテレビって言うのは、旧郵政省の免許要請に守られていて、自由参入は出来ないですよね、未だに。どんなにお金があっても、免許が無い限り放送局を作って電波を出してはいけないって事になっているので、規制されてるわけですよ。規制されているから、高い広告料取れるって言うのがあって、今でも色んな形で守られて来ているんだけど。

それに対してもね、インターネットが得意なアタッカー思想というか、そういう既得権をぶち壊してやろうみたいな人が結構多いんです。そういうことをやり過ぎると、逆にまた電通から刺されるとか。

【高岡】

刺されますか。(笑)

【西川社長】

そういうしっぺ返しが来るわけですけど。

【高岡】

「何々の既得権益を倒そうとしたホリエモンが捕まっちゃったから、皆逆らうのをやめよう。」とか思っている人もいるのでしょうか?

【西川社長】

どうですかね?そんなホリエモンの例はさ、会計操作だからね、本当に。

【高岡】

粉飾ですね。

【西川社長】

ま、粉飾決算ですからね。
でもね、僕が思うには、インターネットが世の中に出てきた時に、「これでビジネスルールを本当にひっくり返せるな。」と思ったわけですよ。オセロゲームでさ、ほとんど黒だったのが、一挙に、全部白にくるくるくるとひっくり返る瞬間ってあるじゃないですか。「このマスを埋めれば白にひっくり返せる。」と、そういう痛快な可能性を感じたわけよ。

【高岡】

可能性はありますね。

【西川社長】

例えば、1番端的に言えば、オンラインショッピングってあるじゃない。あれって立派な店舗を持つ必要も無く、店員さんを置く必要も無く、そうしたらもう全然コストが安くて出来てしまうと。コストが安いことを売りに、最低のプライスを付けて売れば、きっと売れるだろうと。

【高岡】

「最低のプライス」を付ければ、それは当然売れますね。

【西川社長】

皆がそう思うわけ。「もしかしたら、既存のデパートなり何なりでぬくぬくとやってた人たちをアタックして、お客を奪えるんじゃないか。」とかって思うわけですね。そういうアタッカーズ思想があるのよ。大前研一じゃないけど。だから、多分「ホリエモンなテレビ局」を考えた時も、別に単にぶっ倒そうって訳じゃなくて、「自分だったらもっと良くできる。」っていう発想があったんだろうと思うんです。三木谷さんもそうだと思うけどね。そういう、前向きな起業家魂があると思うんですけどね。

【高岡】

ホリエモン騒動の頃は、「インターネットとメディアの融合って言っても、良くわかりませんね。」っていう識者のコメントが新聞やテレビに載っていました。私は、「説明はつかないけど、たぶん融合していくんだろうな」と勘で思うのですが。(笑)

【西川社長】

ま、1番わかりやすい例で言えば、過去に放送された番組を、後でいつでもアーカイブで見られるっていうのは、誰もが望むサービスなんだけど、実際は出来ないっていうことですね。それは著作権法だとか、過去の出演者に出演料払わなきゃいけないとか、いろんな問題があるらしいですけどね。

僕だったら、免許制度自体に風穴開ける方が面白いと思いましたけどね。つまり、既存のテレビ局の買収を試みるよりも、7チャンネルや9チャンネルなどの空いてるチャンネルを開局させろと思いましたね。「『楽天テレビ』を全くゼロから作るからってね。」って言ったほうが面白いと思いましたけどね、うん。

ちょっと話長くなっちゃったけど、いわゆるメディア、インターネットも同じメディアですので。しかも、例えば双方向とかなどの今までに無い事が出来るメディアとして、大きく見ればメディアの一環に入ってくるんですよ。

自信過剰なくらいの自信を秘めろ!

【高岡】

西川社長のように、東大を卒業して、起業する人が増えると、世の中にとって良いと思われますか?

【西川社長】

焚き付けないとなかなか起業家が出てこないっていう時代がずっと続いてたんですけれども、最近はそうでもないですよね。誰でも起業したがっているから。最近は逆に「起業するな。」と。(笑)

ま、僕は東大に行って感じたのは、その、青天井なやつが居るなっていう事を思ったんですね。青天井って意味は限りなく頭のいいやつもいるって意味ですけどね。どうしても、やっぱり東大は1番偏差値的に難しい大学ってことになってるでしょ。そうすると、東大以外の大学では、皆相対的に「俺はこの位の実力だからこれ行こう。」とかね、こうやってやるから、皆その幅に入っていくんだ。

【高岡】

なるほど。

【西川社長】

東大はそれ以上上が無いので、もうこんな奴もいるわけよ。この辺の奴も居るけどね。このギリギリ入りました!みたいなのも若干居るけど。

【高岡】

ギリギリ入りました!っていうのは、私ですね・・。

【西川社長】

本当にね、「やっぱりすげぇ。」って奴たまに居ますよね。で、そういう奴が今何やってるか、別にフォローしてないんだけど、こと東大に関しては、自分に自信を持って、ちょっと自信過剰なくらいな自信は内には秘めておいてもいいと、僕は思ってます。

【高岡】

自信過剰なくらいの自信!

【西川社長】

外向きは謙虚じゃなきゃいけないけど、内には、「俺やっぱり能力人並み以上にあるに違いない。」と思って自分を安く見積もらないで、自分の可能性を背伸びして追求して欲しいですよね。

なんか、東大入ってある程度の大企業入って、ある程度の仕事をして、ずっとそこに安住しちゃう人っていますけど、もっと凄い世界って一杯あるわけじゃないですか。その1つが起業っていう世界だと思うんですけどね。それは、今アメリカなんかでは1番優秀な人がチャレンジする世界って言われていますよね。で、日本、或いは日本以外の国を引っ張っていくくらいの会社もその中から生まれてくるんですよね。大企業のテクノクラートで偉くなって終わるっていうよりは、やっぱり自分をどんどん伸ばしていくって方が、客観的に自己実現の余地が大きいと思うんです。やっぱりそう言うのをやって欲しいですよね。そういう場があるはずなんで。

結構、日本の起業家って、やぶれかぶれ起業家ってのが多いんですよ。「他で通用しないから、しょうがないからやったら、なんかラッキー。」みたいな。

ところが、それなら結局大した事は無いとは思うので、もっと、それこそロジックで追求して、「勝つべくして、勝つみたいな方法」でやればいいと思うんですよ。

ま、ただ起業には運も必要なので、運が無い人はやっぱりやめといた方がいいかもしれないね。運を試すってところはありますよ。個人の努力だけでは、必ずしも成功するとは限らない。でも、努力の部分の方が大きいと思いますけど、努力のみでは駄目っていうね。

【高岡】

ご多忙の所、大変有意義なお話を頂戴し、誠にありがとうございました。最後に、東大OBネットのユーザーの皆さんに一言をお願いします。

【西川社長】

皆さんと同じ東大OBのひとりとして、8年前に創業し、2006年8月30日、おかげさまでマザーズに上場することができました。もちろん、これは、ゴールではなく、end of the beginning でして、これから、さらなる高い山へむけて登山をすることになります。皆さんも大いなる志をもって自分の夢を追いかけてください。



---------------------------------------------------------------------
<PR> 「企業価値」を見抜いて投資する方法論とは?
個人投資家向け 投資アドバイザリー・サービス(実績+288%)
http://ma-investment.jp/
---------------------------------------------------------------------

★ 東大OBネット会員様へ、

「東大OB列伝」で取り上げてほしい著名人を、ご連絡ください。

★ 東大OBネット事務局 人材募集

東大OBネット事務局および編集部で働いてみませんか?
インタビュアー・編集者・Webプロデューサー・プログラマー・イベント企画職を募集しています。
現役大学生、東大OBなどが和気藹々と楽しく働いています。

発行元 : 東大OBネット事務局

URL : http://www.todai-ob.net/
担当者 : 山下
ご希望・ご質問は admin@todai-ob.netまで

本メールマガジンの著作権は東大OBネット事務局に有します。
引用される場合には事務局にご一報願います。
 
■西川 潔

東京大学教養学部卒業。
KDD株式会社(現:KDDI株式会社 )、米国コンサルティング会社、AOLジャパン株式会社などを経て、98年2月株式会社ネットエイジを創業。 インターネットビジネスの企画・開発・運用を通じ、ビジネスインキュベーションおよび投資業務を手がける。 また、2000年頃に日本中を席巻したビットバレー構想(本文の注参照)の発案者でもある。



オークション時代の到来!
美術品は大切な資産です。


■高岡壮一郎

東京大学卒業後、三井物産株式会社入社、アブラハム・グループ・ホールディングス株式会社を起業、学士会と協業し東大OBネットを運営。

関連URL:社長日記